こはるの日記(仮)

スピッツファン

アパートの歌詞が好きだという話

スピッツの『アパート』という曲の歌詞が好きなので、その良さを頑張って日本語にしてみます。
前回の記事でも、次はアパートについて書きたいって書いてましたしね。
shiroinu-lk.hatenablog.com

この曲は、100人中99人は恋人との別れの曲だと解釈すると思われますが、僕も(?)99人の方に属しています。
青という色は若さや未熟さを表すのによく使われる色なので、「わけもわからず青の時は流れて」という部分は、「僕」の恋愛における精神的な未熟さを比較的わかりやすく表現していると思います。
この部分だけでも、「青の時」ってよく思いつくなあマサムネさんはすごいなあと思ってしまいますが、僕がもっと好きなのは、「小さな箱に君を閉じ込めていた」という歌詞です。

「小さな箱に君を閉じ込め」るとはどういうことなのでしょうか。文字通りに読むと、バラバラにして箱に詰めたとか、狭い部屋に監禁していたというような怖い想像もできてしまいそうですが、僕の解釈では、「小さな箱」というのは「僕と君だけの小さな世界」であり、「君を閉じ込める」というのは、「その外にいる君を想像できない/理解できない/認めない」です。

もう少しわかりやすく書こうとしてみます。
自分の恋人のことが好きで好きで仕方がないとき、これを恋人好き好き状態と表現しますが、この恋人好き好き状態が異常なレベルに達すると、 「僕」には「君」だけがいれば良く、「君」には「僕」だけがいれば良いと勘違いしてしまうことがあるのではないかと思います。
ですがこれは今書いたとおり基本的には勘違いで、それが異常な関係でない限り、「僕」にとっては「君」だけがいれば良いかもしれませんが、「君」にとっては「僕」以外の人間や、「僕」と過ごす以外の時間・場所・体験も必要なんですよね。
それがわかっていないと、勝手に傷ついたり、相手を傷つけたりしてしまうのではないかと思います。
そんなことは冷静になればわかることなんでしょうけど、恋は盲目という言葉もあり、「僕」ばっかりが自分と一緒にいる「君」しか見えない状態になっていたというのが、「そう恋をしてたのは僕の方だよ」という歌詞で表現されているように思います。

「壊れた季節」ってのもいいですよね。季節は通常移り変わっていくものですが、それが壊れている(つまり変わらない?)というのは、「僕」が「君」を失った絶望感と共に時の一点に取り残されている感じがします。
この表現は、「小さな箱に君を閉じ込めていた」の後にも出てくるので、「君」と一緒にいたときから「僕」の季節は壊れていたということなんですかね。その時点では絶望感とかはないでしょうから、変化や進歩がないという感じでしょうか。その一方で「君」の季節はどんどん移り変わっていくんですけどね。

季節は壊れているのに、「窓の外は朝だよ」ってのもいいですよね。マクロな視点での時の流れに伴う「僕」の精神的な変化はないけど、同じような1日はやってくるんだ、って感じで。君を失ったときから僕の時計は止まったみたいな歌詞なら僕にも書けそうだけど(書けません)、こういうのは普通の人にはなかなか書けないだろうなと思います。

曲全体を通して、「僕」の未熟さゆえにうまくいかなかったと考えられる恋を天才的な歌詞で表現していて最高だなって感じです。「僕」と「君」だけの世界を「小さな箱」という言葉で表現していて、それをさらに、「君のアパート」という言葉でも表現しているんですね(僕が勝手にそう解釈しているだけですが)。
「君のアパートは今はもうない」というのは、「君」が住んでいたアパート自体がなくなったという解釈もあると思いますが、個人的には、「君」と「僕」の恋が終わったと解釈する方がしっくりくる気がします。
人の歌詞を勝手に解釈して勝手にすごいって言うのもどうかと思いますが、大人になって『アパート』の歌詞について考えた時、やっぱマサムネさんってすごいなって思ったので、マサムネさんはすごいです。すごい!!